元イングランド代表主将のデビッド・ベッカム氏(50)が、スポーツでの功績と長年の慈善活動をたたえられ、チャールズ国王の誕生日叙勲でナイト(騎士)爵を授与される見通しです。
叙勲が正式発表されれば、彼は「Sir David Beckham」と呼ばれるようになり、妻のビクトリアさんは「Lady Beckham」となります。
今回の記事では、今後、みなさんがベッカムさん夫妻とお会いした時に注意するポイントを、筆者が会社員時代に”Sir”の称号が付いたお客様への対応の失敗談も含め解説をしたいと思います。
そもそもナイト爵とは?
中世ヨーロッパの“馬に乗る戦士”が転じ、現代では「国への貢献をたたえる名誉タイトル」となったものです。
- 英語表記:Knight
- 敬称:男性は Sir、女性は Dame
- 授与主体:イギリス国王(他の王室騎士団も存在)
- 対象:スポーツ・学術・芸術・地域貢献など、社会に顕著な功績を残した人物

イングランドサッカー界でナイトの称号を授与された有名人にはボビー・チャールトン氏やアレックス・ファーガソン氏がいます。
ナイトの歴史を5ステップでおさらい
時代 | 主な役割 | キーワード |
---|---|---|
① 8〜11世紀 | 馬に乗る重装騎兵 | 鎧・槍・封建制度 |
② 12〜14世紀 | “騎士道”の誕生 | 勇気・礼儀・弱者保護 |
③ 15〜16世紀 | 火薬兵器で軍事的地位は縮小 | 銃・大砲 |
④ 17〜19世紀 | 王室の公式叙勲に制度化 | 大英帝国 |
⑤ 現代 | 国家栄誉として幅広い分野に授与 | Sir/Dame |
ナイトが使われている国と呼び方
国・地域 | 呼称 | ひとことポイント |
---|---|---|
イギリス | Sir / Dame | 最も一般的 |
イギリス連邦の一部 (NZなど) | Sir / Dame | 英国式を継承 |
フランス | Chevalier | レジオン・ドヌール勲章の等級 |
スペイン | Caballero | 王室騎士団 |
オランダ | Ridder | 国家勲章の一等級 |
日本にはナイト爵位はなく、旭日章や文化勲章など独自の叙勲制度があります。

Commonwealth of Nationsのひとつの国であるオーストラリアは「時代にそぐわない」との判断から2015年にナイトの褒章制度が廃止になっております。
ナイト以外の主な勲章・称号
種類 | 例 | 特徴 |
---|---|---|
王室最高騎士団 | ガーター勲章 (KG) | 王族・歴代首相など極少数 |
国家功労系騎士団 | 大英帝国勲章 (MBE〜KBE) | 5段階制。上位2段階はSir/Dameに |
武勇勲章 | ヴィクトリア十字章 (VC) | 命懸けの勇気を顕彰 |
メダル | BEM など | 地域社会での功労をたたえる |
貴族称号 | Life Peer (Lord/Lady) | 上院議員となる終身貴族。Sirとは別枠 |
Sir と Dame の違い・配偶者の呼称
受章者 | 呼び方の例 | 配偶者 |
---|---|---|
男性 | Sir 名 姓 例:Sir David Beckham | 妻は Lady 姓 例:Lady Beckham |
女性 | Dame 名 姓 例:Dame Judi Dench | 夫に新たな敬称は付かない |
ポイント
- 女性に Sir を使うのは誤り。
- “Lady” は ①貴族の女性 ②Sir の配偶者――の両方で使われるため文脈に注意。

万が一、ベッカムさんの座席用ネームプレートを作成する場合、『Mr.David Beckham』ではなく、『Sir David Beckham』と作成するようにしましょう!筆者は、ナイト爵のお客様のネームプレートをMr.と表記してしまい、関係者から大変お𠮟りを受けました💦
PS “Mr.”と違い、”Sir”にはピリオド(.)は必要ありません。
まとめ 〜 ベッカム氏とナイト制の今後
- ナイト授与は「国からの感謝状」
ベッカム氏はフットボール界の象徴であり、慈善活動でも長年結果を残してきました。 - 歴史ある制度が現代的意味を持つ
中世の騎士が、今やスポーツや文化の功労者をたたえる仕組みに進化。 - 敬称ルールを覚えておこう
受章後は “Sir David” と呼ぶのが正式。女性は “Dame” で “Sir” にはならない。
ベッカム氏が正式に「Sir」となることで、彼の活動がどのように広がり、英国社会や若者への影響を与えるかが注目されます。ナイト制度そのものも、“過去の栄光” から “未来への貢献” を評価する舞台へと変わりつつあるのです。
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