日本を代表する総合重工業メーカー「IHI(7013)」について、2024年度の最新決算データや事業セグメントの動向をもとに、今後の投資戦略をプロの視点で解説します。
✅ 企業概要と事業構成
IHIは、航空エンジンやプラント、防衛装備、インフラなどを手がける重工業大手。多角的な事業ポートフォリオを持ち、国内外のインフラ需要や航空市場の回復の恩恵を受けています。
主なセグメント構成
- 航空・宇宙・防衛事業
- 産業システム・汎用機械事業
- 社会基盤・海洋事業
- 資源・エネルギー・環境事業
- その他(物流・サービスなど)
✅ 最新決算ハイライト(2024年度 第1四半期)
指標 | 数値(2024年4〜6月) | 前年同期比 |
---|---|---|
売上高 | 約4,580億円 | +7.4% |
営業利益 | 約260億円 | +22.7% |
経常利益 | 約280億円 | +20.9% |
四半期純利益 | 約175億円 | +26.5% |
営業利益率 | 約5.7% | 改善傾向 |
財務健全性(2024年6月末時点)
- 自己資本比率:約28%
- 有利子負債:約6,400億円(やや高め)
- 営業キャッシュフロー:プラス
- 投資キャッシュフロー:大型設備更新でマイナス傾向
✅ セグメント別の動向と評価
🔷 航空・宇宙・防衛事業
- 民間航空機向けエンジンが回復(GEとの提携あり)
- 防衛関連(F-35など)も政府支出増で好調
- 高い利益率を維持
ポイント: 円安の追い風を受け、グローバル市場での競争力が高い。
🔷 資源・エネルギー・環境事業
- LNGや火力発電関連が黒字転換
- プロジェクト損失処理は一巡
- カーボンニュートラル関連(アンモニア・水素)へも注力
リスク: プロジェクトの採算管理が引き続き重要。
🔷 社会基盤・海洋、産業システム事業
- 国内インフラの更新需要、海外インフラ整備に対応
- 省人化・自動化機械への需要が増加中
✅ 業界・マクロ環境の追い風
- 円安(1ドル=150円超):輸出企業にプラス
- 防衛費拡大:中期的な事業拡大要因
- 航空需要の回復:コロナ後の旅客機稼働が上昇
- カーボンニュートラル:環境分野へのシフトが進行中
✅ 投資指標(2025年10月時点)
指標 | 数値 | 備考 |
---|---|---|
株価 | 約4,000円前後 | 5年高値圏 |
PER | 約13〜15倍 | 妥当水準 |
PBR | 約1.2倍 | 割安感は限定的 |
配当利回り | 約2.2〜2.5% | 安定配当が魅力 |
✅ 投資戦略と評価
▶ 強み
- 航空・防衛といった高収益分野の拡大
- 円安メリットの享受
- 中期経営計画に基づく収益性重視の経営
▶ リスク
- 大型プラントの採算悪化リスク
- 為替変動リスク(円高に注意)
- ROE・ROAなど資本効率の改善余地あり
✅ 総合評価(2025年10月時点)
- 投資判断:★★★★☆(4/5)
- 推奨スタンス:中長期保有に適した銘柄
💡 投資アドバイス
中長期での利益成長、安定配当、円安による業績押し上げが期待されるIHIは、インフラ・防衛・航空分野の成長を取り込みたい投資家に適した銘柄です。プラント事業の進捗や為替動向に注意を払いながら、押し目を狙った分散投資が有効です。
📌 補足:今後の注目ポイント
- 中期経営計画で掲げるROIC改善の進捗
- 水素・アンモニア関連の新技術動向
- 防衛関連の中長期的な受注動向
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【免責事項】
本記事は特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資は自己責任でお願いいたします。
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